ズッキーニが実らない。自然着果を期待できなくなった。何もしないでいると、果実が先細りの不完全果になり、そのまま置くと先端から腐敗してくる。受粉が不完全なのだ。蜂が授粉してくれないのだ。
4月下旬に定植し、5月中旬から開花が始まったので、まずは人手で授粉し良果を収穫できていた。5月末、そろそろ蜂も飛んでいるだろうと授粉を止めたら、全く良果が実らない。花弁の開いている午前中、ズッキーニを見つめていても、一向に蜂が飛来しない。ごくたまに小さなハチが来るが、数はきわめて少ない。スイカ、カボチャも植えているが、正常に着果するかどうか心もとない。
この蜂の少なさは異常である。過去10年来、年々蜂の目撃が減っている。激減と言っていい。庭のバラにもほとんど来ない。この衝撃、私には極度の不安となっている。1962年にレイチェル・カーソンが著わした「沈黙の春」が現実になった。まさに今、目の前にそれを見ているのだ。
1980年代に、すでに警告が発せられていた。農林業が生物種の絶滅を促す主要因ではないかという科学者たちの指摘だった。ところが日本の農業界はほとんど反応しなかった。
2019年に、世界132カ国の政府が参加する「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム」が、衝撃的な予測数値を発表している。動植物約800万種のうち、「今後数十年間で100万種が絶滅のおそれがある」との警告だった。「昆虫種の40%が絶滅するおそれ」があるというものだった。
種の絶滅に先立って、前兆として個体数の激減がある。花バチの飛来が極度に減っている現象は、いずれ近いうちに日本の花バチ類の種の絶滅が進むであろうことを暗示している。影響は作物に限らない。森林や草原の虫媒花植物は、今後、その生態に大きな影響が及ぶだろうと思う。森の実り、草原の実りが不安定になれば、その影響は広範囲に及ぶだろう。私たち人のくらしに大きな影響があるに違いない。
いますぐにでも、対策しないといけない。
農薬はやめよう。特に殺虫剤は使ってはいけない。除草剤もやめよう。
今すぐにでも、日本の農業界は無農薬農業へと転換しなければならない。
私たちの子ども、孫、ひ孫の世代が「自然環境と賢く調和共生し、国として食の自律を計って飢えることのない」よう、今の私たちの責任として、その決断が迫られているのだと思う。