この国のかたち(5) 政府が公然と差別する、そんな国の私たち

 AERAdot.に、政治経済評論家・元経産省官僚 古賀茂明さんの、辺野古新基地建設に関わる最高裁判決について「国が司法と組んで『黙らせる』狡猾手口」が載った。

 防衛省辺野古新基地設計変更申請を沖縄県が不承認としたことに対して、国土交通省が県に承認するよう是正指示を出した。沖縄県がその指示を取り消すよう求めた訴訟の敗訴が決まったのだ。最高裁は、沖縄県が不承認とした理由「命の宝庫ともいえる大浦湾の軟弱地盤」について審理せず、手続き論だけで沖縄県の訴えを退けた。門前払い、国いいなりの判決だった。

 古賀氏は「最高裁は、常に正しいかというと、そんなことはない。…… 誰が見ても間違った判断だ。国の重要な政策について、国の主張が間違っている場合でも必ず政府の側についてきた。最高裁は、そういう機関なのだ」と断じている。

 辺野古新基地建設を強引に推し進める背景には「沖縄に対する自民党政権の差別があるからだ」と明快に述べる。「政府は、…民意を表す行動には非常に冷淡、というより敵対的」で、それは「自民党政権固有の特徴 …… 特に安倍晋三政権の時からよりあからさまになってきた」「そこには市民の声を無視する …確固たる哲学がある」と述べる。

・「市民、国民は馬鹿だ」という哲学。政府は間違いを起こさないという無謬性、自分たちを優秀だと考える官僚の驕慢と狭量。

・「最後は金目でしょ」という哲学。金さえ出せば解決する、反対するなら金を出さないぞ、という脅しのやり口。

・「既成事実を作れば勝ち」という哲学。辺野古新基地にどんなに反対があってもかまわず推し進めて県民を諦めさせる。原発政策も同じ。

・「希望を与えるな」という哲学。住民運動を成功させて希望を与えないために一切妥協しない。

 この政権の冷たさ、傲慢さはどうだ。私たちはこんな “専制国家さながらの国” に住んでいる。

 沖縄の民意を一切顧慮しないこうした自民党政権のやり口、最高裁の姿勢には、多くの学者も異を唱えている。「デニー知事の不承認は違法とは言えない」、「私人の権利救済を目的とする行政不服審査法の立法趣旨を踏まえない最高裁の判断は後世に汚点を残す」などの意見である。

 古賀氏は「県知事は、計画変更の承認を拒否し続けるべきだ」という。司法によりも県民の声に従うことをより重んずるべきだという古賀氏の主張に、私も賛同する。デニー知事、負けるな! 政府が「もうだめだ」と諦めるまで。