有機農業とその技術(3) 土づくり(その七、ボカシ肥料Ⅱ)

 ボカシ肥料は、身近に手に入る次のような材料を混ぜ合わせて作る。

・粒状または粉状の廃棄有機物、農業副産物、食品製造残さ、など

 米ヌカ、小麦ヌカ(ふすま)、油カス、魚カス、オカラ乾物、クズ大豆、クズ麦、生ゴミ発酵処理物、発酵鶏糞、果汁搾りカス、コーヒー滓、出汁カス、菓子クズ、ビール滓、等々 (これらのうち2~3種類の混和で充分)

・ミネラル添加資材、微生物活性用資材(どちらも少量添加)

 グアノ(海鳥糞あるいはコウモリ糞堆積物)、カキガラ、貝化石、岩塩、草木灰、エビ/カニ殻、腐葉土など (必要なければ無添加でいい)

 私は、米ヌカと発酵鶏糞に少量の腐葉土を加えただけで作っている。

<ボカシ肥料の作り方>

・完成後の成分含量を想定し、材料の含有成分量(推定値)を考えて配合する。

・雨にあてないよう屋根の下で、発酵菌を定着させるために土の上で作る。

・水をかけて混ぜる。水分含量は手で握って塊となるが、触るとすぐほぐれる程度(水分含量50%前後)とする。少し湿り気を感じるくらい。

・前回作成のボカシがあればタネ菌として少量を混ぜる。

・高さ40~50cmの山に盛る。高くて大きすぎる山は内部が高温になりすぎて菌が弱る。50~60℃の発熱にコントロールする。

・紫外線を遮り、乾き過ぎを防ぐために通気性のある蓆(むしろ)や麻布、寒冷紗などで覆う。

・発熱して1週間後に切り返しをする(外側と内側を混ぜ合わせる)。内部まで白っぽくなって乾き、30℃以下に下がれば完成。

・通気性のある土のう袋などに小分けして保存することもできる。半年以内に使い切る。

覆いのムシロを取った切り返し前のボカシ、表面が白いのは発酵菌の色。緑の袋は同じ材料で嫌気発酵を試している。

 

 以上の作り方は「好気性菌」による好気発酵ボカシである。農家は数百㎏~数トン規模で作って使うが、家庭菜園者は数㎏~数十㎏あれば足りるので衣装ケースなど容器内で作る方法もある。

 水分を含ませた同じ材料を、ビニール袋など密閉容器に入れて「嫌気性菌(乳酸菌など)」による嫌気発酵ボカシにすることもできる。発酵方法が異なっても作物栽培での使い方に大きな違いはない。

 堆肥は腐熟すると黒くしっとりと湿っているが、ボカシは白っぽく乾いたものになる。作物栽培はボカシ肥料だけでも十分可能だが、堆肥あるいは緑肥作物と併用することが望ましい。ボカシには主に肥料効果を期待し、長期的な土づくり効果は堆肥や緑肥作物の方が優れるからである。材料の合わせ方で、堆肥とボカシ肥料の中間型を作って使う方法もある。

家庭菜園用に容器内で作ることができる