有機農家を育てる(6) 農家30万人に減る?

 8月16日の朝日新聞に、希望をなえさせる記事があった。

 タイトルは「農家の価格転嫁 制度検討」で、農家の肥料や燃料代のコスト上昇分を販売価格に適正に転嫁できるよう制度づくりの「検討を始める」というものだ。絶対に必要な対策だと思うが「ただ、農産物は種類も取引形態も多様」なので、「価格転嫁の対象は一部の品目に限られる可能性がある」という。なんだ、やはりそうか。「検討を始める」のも遅きに失しているし、限定的な対策では救われる農家も限られる。

 私が注目したのは、この記事の中の農家数のところだ。「農産物はスーパーの値下げ競争の影響で価格が抑えられ、疲弊して農業をやめる人が相次いでいる。主に農業に従事する人は123万人(22年)で、……20年後は30万人に減る と予想する」とあった。「予想」は農水省の予測のことだろう。

 私の希望的予測よりずっと厳しい。有機農家30万人化どころではない。主業農家30万人で、どうやって日本国民に必要量の国産食料を供給しようというのか。20年後、海外からの食料調達が厳しくなる予測があるにもかかわらず、農水省はただ「予想」するだけなのか。販売価格へのコスト上昇分転嫁を「一部の品目」だけで済ませるつもりか。

 

 日本が飢餓の国に陥る日は、そう遠くないかもしれない。

 可愛い子どもや孫たちの未来が心配でたまらない。

 今、私にできることは何か。

 1人でも2人でも、「農業したい」人を農家に育てる活動をやみくもに続けるほかない。農家が激減したら国の将来が危ぶまれることを、必死に訴えるしかない。

 

 今日8月17日の朝日新聞「折々のことば(鷲田清一)」に、「憲法を変えるより、政治を変えるのが先です。(白井明大)」とある。一刻も早く政治を変える必要がある。

 政府に訴えたい。軍事費(戦争準備費)を2倍(11兆円)にするのではなく、農業予算の5倍化(11兆円)に取り組むことが真に国民を守る方法ですと。